あさき/幸せを謳う詩

流れていく弔いの灯は風を凪ぎ空へ
流淌而去的孔明灯升上宁静的空中
水上から流す 幸せを 小さな貴方と
从水面流走的 幸福 和年幼的你

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カタカタ 動き始める映写機 カタカタ
咔哒咔哒 开始运作的放映机 咔哒咔哒
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貴方がたてた
你曾亲手升起的
赤色の鯉のぼり 静かに空を泳ぐ
红色鲤鱼旗 在空中宁静地飘荡
夕波に交錯してあきつが並ぶ
并行的蜻蜓交错在夕阳下的波浪之中

穏やかに流れていく波の音 遠く
平稳地流淌着波涛声 渐渐远去
深き終の瀞
最终归于寂静
涙霞 途切れぬ糸
止不住的 泪雨朦胧

外灯に群がる霧雨は無始礦劫
不知何时濛濛细雨笼罩了屋外的灯
水面に乗せて ひとひら ふたひら
飘散 在水面 一片 两片
わたし あなた わたし あなた
我 你 我 你
流れていく散華
零落散花

あの人が好きだったぼんぼりに
对着那人喜欢的雪洞灯前
赤い灯をともしつづけお化粧をする
点着赤色的烛火化着妆
笑いかたも忘れた
就连笑容也忘却

待てども待てども帰るはずのない貴方を待つ私は
日复一日等待着再也不会归来的你的我
ひとり ひとり
伶仃孤苦 茕茕孑立

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カタカタ カタカタ
咔哒咔哒 咔哒咔哒

ごらんあれ!歓楽だ!愉快な至楽キネマ!
快看这里!真是欢快!愉悦至极的影片!
少女「はやく!はやくー!」
少女「快来!快来—!」
爺様が貴様に見せてやる
是老爷赏赐给你们看的
少女「はやく!はーやーくー!見せてー!」
少女「快点!快—一—点—!来看啊—!」
座り聞け!幸せな女の眩きを!
端坐聆听!幸福少女的晕眩!

カタカタ カタカタ
咔哒咔哒 咔哒咔哒

幸せを謳え
讴歌幸福
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静かに舞う 緋色の糸
静静地飘舞 绯红的丝线

外灯に群がり連なる影は無始礦劫
不知何时斑驳的阴影笼罩了屋外的灯
二人の傍らで転ぶ
在二人的身旁晃动着
「いつまでも続くといいな」
「若是能一直这样下去就好了呐」
彼女は言う
她说道
絶え間無き 煌々
止不住的 辉煌璀璨

二人で灯した光は赤く
二人点起通红的烛光
肝胆相照らし寄り添う影映す
如同肝胆相照般映照出相随的身影

無言の会釈 揺れる
相同的心灵 不言而喻

小暗がりでも歩くことが出来た 二人で灯せば
若是二人一齐点灯 即使再小的光亮也能前行
静かに 歪み心任せに吹く
静静地 任凭风吹扭曲的心

静かに
静静地

木漏れ日遊ぶ
树枝间洒落下的阳光
枕辺染め 身溶かす
侵染枕边 溶化在身
葉擦れが吹き消した 吐息の音
呼吸的声音 掩盖了风吹树叶的嚓响
折り鶴は木の葉 風に揺れ 傾く
千纸鹤也如同树叶般 在风中摇曳 倾荡
訪いた 影を延ばしながら
造访的 身影被日光拉长

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ふぃるむ は逆さに回り
影片 反转倒带
二つの笑みを白黒にして 燃やす
二人的笑容沾染黑白 燃烧殆尽
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飛び散る灰は 粘土の様に固まり
飞散的灰烬 堆积成黏土般
後ろに延びた影に散り敷く
在身后拉长的倒影上铺满

「幸せになるために」
「为了变得幸福」

描く夢は 淵にまわり溶けて消えた
描绘的梦境 围绕着深渊消散而去
送り火揺れて ささめきあう
送葬的火烛摇摆不定 如同碎碎耳语

静かに
静静地

木漏れ日揺れて 波を作り 身運ぶ
树枝间洒落下的阳光 扬起微波 辗转身躯
手を握り返してくれませんか
不能来握住我的手吗
幸せな顔で寝ているものだから
只因怀着幸福的脸庞睡去
波に乗せた言葉がぽろり
乘着波浪的话语凝噎滴落

ああ ひとつだけ灯す明かりは瞼に揺れ
啊啊 只留一盏灯火的烛光映晃在眼帘
冷たく黙に冴ゆ 歪みながら
凄清的死寂 变得模糊不清

どこまでも続く大路 埋めた木の葉
无论去往何方的大路上 都被树叶埋藏
歩く音に合わせて軋んだ胸
迎合着足音揪起心声

埋めた日々を具に見つめて消えた
埋没的每日在凝视中消逝
「幸せの終わりに小さな花が咲いていたとして
「盛开在幸福的终点的小小的花朵
私にとってそれが この子 でした」
那对我来说 便是 这个孩子」

「二度とは会えぬと思った貴方のぬくもりは
「你的余温再也无法相见
私の中で ああ 生きていました」
却在我的心中 啊啊 依旧残存」
空を舞う鯉のぼりは歪んでいる
空中的鲤鱼旗扭曲地舞动

側に座る白髪の少女が笑む
坐在身旁的白发少女露出了笑容

カタカタ カタカタ カタカタ
咔哒咔哒 咔哒咔哒 咔哒咔哒