あさき/天庭

かなしいね
悲伤呢

かなしいな
悲伤呐

ゆかいだね
愉快呢

ゆかいだな
愉快呐

誰かが見ているよ
有谁在看着哟

誰かが見ているね
有谁在看着呢

こんにちは
你好

こんにちは
你好

さようなら
再见

さようなら
再见


―太陽の下で―
―于太阳之下―

さあさ 皆様!
来吧 诸位!
あすこをご覧あれ!
敬请观览四方!

暗澹たる中天へと延びたる光の梯子に
黯淡空中延伸而去的光之阶梯中
群がる星屑たちが口々に叫んでいる
聚集起的满天星斗一齐悲号

心を殺せ
将心抹杀

―春のひと―
―春之人―

ふらりふらり
摇摆漫步
そ知らぬ顔して紫雲よりたれる
无动于衷的表情从紫云中垂落

ひと

口唇をしづめて跳ねまわり
闭紧双唇跳跃周旋
あうらや追い越せと果てる
超越嫉妒使之终结

ひと

四本足の動物たち
四足的动物们
「満目の枯れ明かり!」
「满目尽是昏暗的光!」

あなた 召しませ とこしなえ
将汝 召唤 永世

―夏の人―
―夏之人―

女性の形を模した仏様
模仿女性相貌的佛
「さあさあ ごゆるりとご覧あれ」と鬻く
「来吧 请慢慢观览」地叫卖着
梅が枝を突き刺して笑みなさり
梅树刺穿树枝嬉笑着

男性の形を模した仏様
模仿男性相貌的佛
「ほらほら ここで生り」
「来吧来吧 在此处诞生」

様々な動物の頭を模した帽子をかぶる かわいらしい人々
戴着燃尽种种动物头颅的帽子的 可爱的人们
「ふむふむ ここか」
「哦哦 是这里吗」

ここに在り!
于此诞生!

神仏が分かつ五臓と六腑を
将神佛分离的五脏和六腑
舐めつ くくみつつ 眼下に広がる
一丝丝地舔舐 一点点地含食 开阔眼前
濁流の岸を洗ひて安着
平安抵达冲刷着濁流的岸边

幸せかい
幸福吗

そうだろう
是啊

何も知らない
名为一无所知的

という幸せがそこにはある
幸福就在那里

―太陽の下で―
―于太阳之下―

あかときは終に行く
夕阳终于下沉
もう帰してはくれぬ
再也不会归来
爆ぜて
爆破炸裂

あ!
啊!

あっ!
啊!

天ぐらり!
天空崩塌!

絶景だ
绝妙好景

あをみ 延びて 推し量る
揣测无边延续的青云
行き会う星の間の深さ
流转星辰间的深邃
追いかけていたはずの光華に追われ
被本应追随的光辉追逐
迷子になる
迷失了路途

寂滅を待つ 凍みた灯火を抱き
等待着涅槃 簇拥冻结的灯火
過ぐ明日を雲に託し流る
把逝去的明日托付给云朵
日輪にあくがれ
憧憬着太阳
歪にうねる影絵
翻腾着走形的影画
互の肝を抉り合い悦に浸る
沉浸在互挖肝胆的喜悦之中

―秋のひと―
―秋之人―

光の梯子に群がり
聚集在光之阶梯
嬌声をあげる星屑たちの間を
发出娇声的繁星之间
黒い点滅がすり抜けていく
擦过昏黑的光芒
やがて無数の大きな線上の糸遊になったそれは
不久便化作无数的巨大线状游丝
羅を羽織りながら羽化をとげ
编织绫罗绸缎最终羽化
あはあはと大嘘を縛り付ける
束缚飘渺的虚空
天日の錘に絡みつきながら
一边缠上太阳的砝码
その速度を上げ
提升它的速度
灼熱の顔を覆い尽くしたのち
覆盖住灼热的脸庞之后
さらばえた影を引きずりながら
一边将衰老的影子拽走
夜空と同化し 消えた
与夜空同化 消逝

「啜り泣くひと」
「抽泣的人」

ひゅ ひゅ ひゅるる~
咻 咻 咻噜噜~

―冬のひと―
―冬之人―

朔風は見え得ぬものを鳴らし
北风迎合着呼吸
呼吸合わせをり
鸣着看不见的声响

―「神は懈怠ないのです!」とほざくひと―
―「神没有懈怠!」地胡扯着的人―

鉛色の霧をまといながら
环绕着铅灰色的雾
濁液を垂らして連なるきららは
连绵滴下明亮的浊液
顎に念珠をこすりつけ
搓动着下颚的念珠

今か! 今か!
现在吗!现在吗!

とまつさらの闇に
将新生的黑暗
祓へと打ち込む!
彻底驱散!

かなしいな かなしいね
悲伤呐 悲伤呢
かなしいな かなしいね
悲伤呐 悲伤呢
かなしいな かなしいね
悲伤呐 悲伤呢

肩に降る銀のささやき
银色的私语飘落在肩

―子供たちへ―
―寄予孩子们―

猿ども
猴子们
「あらあら こんなところに面映い源が!」
「啊啦啊啦 竟在这种地方发现恬不知耻的源头!」

仏様

「おとこのこ おんなのこの秘め事さ」
「男孩子 女孩子的秘事」

世界中の動物たち
世界上的动物们
「あいやー あいやいやー」
「哎咿呀—— 哎咿呀咿呀——」

満面で笑う
笑颜满面
不揃いの虹は
错综复杂的彩虹仿佛
多岐茫洋
歧路亡羊

―月の下で―
―于月之下―

見ているか
看到了吗

ひととして
其身为人
在りたくて
愿存于世
月見船に乗って
乘着观月小舟
湖心へ向かうひとよ
朝向湖心的人哟
見えるか 見えているか
能看到吗 能看到否
天心の月はあまりにも遠すぎる
天心之月太过遥远

焼かれた瞼で見る漁火
被灼烧的眼睑注视渔火

―太陽の下で―
―于太阳之下―

ひらひらと舞い落ちた
翩翩飞落的
空の欠片が掌で燃えて
天空碎片在掌中燃烧
汚れた灰になり
化作污秽的灰烬
風にのって
乘着风
又 空へと昇る
再一次 升到空中

光 あくがれの光
光 无比憧憬的光
歪を物憂く見つめ合う
艰难地凝视着模糊的光
その火柱 よじれよじれて
而那火柱 不断地扭曲
夕陽の色欲りぬ
不再渴求夕阳的色彩

為すべきを為し
应变而变
肝抉り身反らし
刳肝仰身
迷子の蛻掲げて笑う
笑着挂起迷途者的皮囊

どす黒く広がり
漆黑一片的广阔
吹き溜まる縁に
随风漫舞的姻缘
何を聞き 何を伝えて 我行けり
所闻何为 所达何言 我曾去往

貴様ら見えるか
汝等可否看见
あの天道の先で在り
就在那天道的前方
妬心の業火に焼かれた手を
以妒火焚烧之手
希望のたばしり落としては拾って
拾起希望的散落纷飞
脇目もふらず 内蔵舐め合う様を
心无旁骛地 摆出互舐内脏的模样

ほら 閃きよ
看吧 光辉闪烁
垣間見て其の上の
窥视其上的时代
時代見届けぬ
终未能见
消え残る星ひとつ置き
残星一颗放置其中

誰か教えておくれ
有谁能告诉我
幸せは何処にある
幸福所在何方
光背のくづるるごとく
宛如信仰之光崩塌
空が割れている
天空破裂消亡

ひと思ふ故 曰くを踏む
人思所缘 踏上光梯
星 泳ぎ 行く その先に
繁星 游走 远去 在其之端

幸あれ
是幸福所在

暗澹たる中天へと延びたる光の梯子に
黯淡空中延伸而去的光之阶梯中
群がる星屑たちが口々に叫ぶ
聚集起的满天星斗一齐悲号

業火はいつでも貴様らの背中を焼いている
神火永世灼烧汝等身躯

―ひとへ―
―寄予人―

ねえみて 春がやってきて
呐看吧 春天悄悄来临
草も木も花も歌っている
花草树木都在欢歌
ねえみて 春がやってきて
呐看吧 春天悄悄来临
みんな ここにいる
大家 都在这里

みんな赤い背中をしている
大家背上皆是红色

天庭にて
于天庭